糖尿病と体重増加の関係性とは

2019年の厚生労働省による国民健康・栄養調査報告によると、日本の成人男性の約30%、女性の約20%が肥満とされています。[1]特に、糖尿病の疑いがある人の割合は、男性では19.7%、女性では10.8%に上り、過去10年間で最も高い数値を記録しています。

肥満と糖尿病は密接に関連していることは明らかですが、具体的にどういう関係があるのでしょうか。この記事では、糖尿病と体重増加の関連性について解説します。

糖尿病とは？

糖尿病は、インスリンの働きが不十分で血中のブドウ糖が増加してしまう病気です。長期間にわたって血糖値が高い状態が続くと、心臓病や失明、腎不全、足の切断など重大な合併症を引き起こすことがあります。

「1型糖尿病」や「2型糖尿病」という言葉も聞いたことがあるかもしれません。

1型糖尿病は自己免疫が原因で、若い人に多く見られます。一方、2型糖尿病は生活習慣や遺伝的要因によって発症し、最も一般的なタイプです。

生活習慣や遺伝的な影響により、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりすることで血糖値が高くなります。

糖尿病の症状はどんなもの？

2型糖尿病の症状には、疲労感、皮膚の乾燥や痒み、手足の感覚低下、感染症の頻発、頻尿、視力の低下、性機能障害などがあります。1型糖尿病の症状もこれらに似ていますが、急激な体重減少や激しい疲労感が特徴的です。2型糖尿病は、初期の段階では自覚症状がまったくないことが多く、症状があらわれるとしても、非常にゆっくり、少しづつあらわれます。また、太り過ぎや運動不足の場合や、糖尿病の家族歴がある場合でも起こりやすいことが分かっています。

糖尿病と体重増加の関係は？

体重増加は2型糖尿病の発症リスクを高めることが知られています。デンマークの研究では、肥満が2型糖尿病のリスクを6倍以上にすることが明らかにされました。日本人を対象とした研究でも、糖尿病のある人は肥満や過体重の場合、死亡リスクが上昇することが示されています。

国立がん研究センターや群馬大学などの調査した結果では、糖尿病の人では、とくに男性で、肥満(BMIが30以上)、太り過ぎ(BMIが25以上)であると、死亡リスクが増加することが明らかになりました[2]。またこの研究では、肥満や太り過ぎだけでなく、やせ過ぎ(BMIが19未満)の人でも、死亡リスクは上昇するという結果に。糖尿病を持つ方は適正体重の維持が重要であることが示されました。

減量は糖尿病の管理に役立つ？

イギリスの研究者、ロイ・テイラー教授によると、体重を5%減らすだけで、糖尿病が大きく改善する可能性があると言います。彼らの研究では、特に体重が多い人たち11人が、3ヶ月間で平均15キロの体重を落としました。その結果、半年後には少し体重がリバウンドしましたが、ほとんどの人が血糖値を良い状態に保つことができ、薬の量も減らせました。また別の研究でも、糖尿病を発症して4年以上経つ方でも体重を5kg以上減らすことで、84%が血糖値を正常域まで下げられることがわかっています。5〜6ヶ月かけて体重を減らし、健康的な体重に近づけることが、もっとも成功しやすい方法であることが確かめられています。

糖尿病を持ちながら減量する方法は

糖尿病を持っている方で減量を考えている場合のアプローチ方法をいくつかご紹介します。

バランスの良い食事を心がける

特定の食品に制限する必要はなく、健康的な食品を選ぶことが重要です。

• 健康的な食べ物を選ぶことが大切です。例えば、全粒穀物、魚（サーモンやマグロなど）、豆類、低脂肪の乳製品、アボカドやナッツのような良い脂肪、野菜や果物をたくさん取り入れましょう。特に果物は、そのまま食べると血糖値の上昇を抑えることができます。
• 加工された食品や塩分、砂糖が多い食べ物は避けましょう。

運動を取り入れる

• WHOでは、週に150～300分の中強度運動（例: 散歩、ダンス、水泳）を推奨しています。
• 運動が苦手な方は、まずは短時間から始めて徐々に時間を増やしていくと良いでしょう。
• 運動前には血糖値をチェックして、低い場合は炭水化物を含む小さなおやつを、高い場合は運動を避けましょう。
• 水分補給を忘れずに、緊急時のために砂糖菓子やブドウ糖錠を持っていきましょう。

過度なダイエットは避ける

過度な食事制限は長期的に見て効果がないだけでなく、糖尿病の管理を難しくすることがあります。食事の選び方には注意し、医師と相談しながら進めることをおすすめします。

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